2020年4月16日木曜日

密集しないで外で遊ぶには

3月19日から行っている休校・休園・外出自粛中の子どもの過ごし方に関する調査において,4月1日までの中間集計では,外出時に安心して遊べる場所や外出していいかどうかがわからないという回答が多くありました。なお,現在も調査期間を延長して,回答を募集中です。

以下の記事によると,屋外での運動や公園利用については特に指針が示されている訳ではなく,自治体によっては公園を閉鎖するところも出てきているようです。

毎日新聞「滑り台などの公園の遊具、各地で使用禁止に 「子どもたち密集させないため」」4/16(木) 8:30配信

例えば,札幌市建設局みどりの推進部のサイトでは,パークゴルフ場、野球場、テニスコート、サッカー場等の屋外施設,公園にあるパークセンターやレストハウスなどの屋内施設の閉鎖,炊事広場の開放時期の延期,花見での宴会の自粛要請などが広報されています。それらの施設以外の場所で,広場で,どうやって安全に公園を利用すれば良いかは分かりません。

アメリカの National Recreation and Park Associationは,公園を管理する自治体や管理者等の団体と3月18日に共同声明を出しています。その概略は,




  • 発熱などの症状があるときは公園や歩道の利用は避けましょう
  • CDC (アメリカ疾病予防管理センター) の指示に従いましょう
  • 利用できる公衆トイレや水飲み場は限られています
  • 歩道上で他の人とすれ違う時には,距離をとってよけましょう
  • 集まる際には,CDCの指示する人数に従い,お互いに距離をとりましょう
  • 他人とは最低6フィートの距離をとりましょう。それが難しい場合は,替わる場所を見つけ,その場所を離れましょう
  • 公園と歩道の利用にあたっては各自治体の最新の指示に従いましょう
  • となっています。

    先述の子どもの過ごし方に関する調査において,面積が広く,人数が少ない公園が選ばれていることも分かりました。では,どこが広くて,散歩などに適しているのでしょうか?Google Mapで,検索欄に「公園」と入れると近所の公園が列挙され,地図上で大きさを確かめることもできます。
    札幌市の例になりますが,公園検索システムで,住所や施設の内容から公園を検索して,広さや施設を確かめることができます。ご近所にある街区公園ではなく,近隣公園や地区公園,総合公園などを指定して検索すると,より大きな公園がどこにあるか分かります。

    公園の利用状況を知るのは難しいですが,昨年度,札幌市の桑園地区で我々が行った調査では,小学校や駅,公共施設,商業施設などに近く,遊具も充実している公園に,子どもたちや大人が集中する傾向が分かりました。さらに,午前10時前後と午後3時頃がピークの時間帯です。ご近所をよく探してみると,遊具は少ないけど軽い運動や散策はできる,早朝やお昼時,夕方には空いている意外な穴場があると思います。


    2020年4月6日月曜日

    新型コロナウィルスの影響で幼児〜中学生の過ごし方,遊び方はどうなっている?

    「新型コロナウィルスの影響による子どもの生活と遊び状況調査」中間報告

    北海道大学大学院農学研究院・准教授 愛甲哲也

     新型コロナウィルスの影響で休校・休園や外出自粛になっている幼児〜中学生の生活状況,特に外遊びの実態と課題を調査しています。子どもの生活環境や遊び空間の改善に生かす知見を得るため,こども環境学会・こども環境研究会北海道の有志で,319日に開始しました。
     これまで北海道を中心にいただいた923人の回答について,主な内容を中間報告し,各家庭での子どもの過ごし方の現状や課題,工夫などについて共有いたします。
     協力が広がっていることや北海道外では休校・休園が延長されていることから,調査期間を当初予定より延長いたします。特に,北海道以外の方からもご回答をよろしくお願いいたします。引き続き,ご協力いただけますと幸いです。

    回答サイトU R L https://arcg.is/0fuSOv 

    中間報告対象期間:319日午後4時〜4124
    回答数:923人(北海道838人,北海道外85人)
    分析:北海道大学大学院農学研究院 愛甲哲也
    連絡先:電話011-706-2452,メール:tetsu@res.agr.hokudai.ac.jp
    ※自由回答項目のテキスト分析は,ユーザーローカル テキストマイニングツール( https://textmining.userlocal.jp/ )を使用しました。

    ご希望の方には,図表が鮮明なPDFファイルを配布いたします。メールでご連絡ください。

    ・多くの幼稚園,保育園,学校などで,休校・休園の措置がとられている

    ・休校・休園や外出自粛中は,自宅が主な居場所に

    ・休校・休園や外出自粛で,屋内遊び,テレビやビデオ,インターネット動画,ゲーム,家族との会話が増え,屋外遊び,友達との交流,塾や習い事は減少

    ・8割以上の保護者が,子どもには外遊びが必要と回答

    ・休校・休園や外出自粛前は,自宅や友人宅の庭,近所の公園で遊んでいた

    ・休校・休園や外出自粛中の外遊びは減少,4分の1は屋外で遊んでいない

    ・自宅から近い,人が少ない,面積が広い公園が選ばれている

    ・保護者は,屋外で安心して遊ばせる場所,学習方法,外出に関する情報が不足

    ・休校・休園や外出自粛中のお子さんの屋外での遊びについて,困っていること,悩んでいることがあれば,不都合のない範囲で教えてください。

    回答の例:
    手洗いうがいするだけで本当によいのかと不安
    ついてあげられない時は外遊びができない
    雪がまだ残っているとそもそも公園でも遊べない
    雨の日の遊び場がなくて困ります
    友達がいないので長時間外で遊んでいられない
    人数が多いと気になり外へ行かせられない
    公園などで遊ばせてもいいのかわからない
    外に連れ出した時の周囲の視線が気になる
    屋内だけでは子どもと自分にストレスが溜まっている

    ・休校・休園や外出自粛中のお子さんの屋外での遊びについて,気をつけていることやお子さんに伝えていることがあれば教えてください。

    回答の例:
    なるべく出ないようにしている
    街には行かないようにした
    人と交わらないようにしている
    口や目を触らないよう伝えた
    家の近くをランニングしています
    友達の家に行かないように
    公園の遊具では遊ばないように
    帰宅後はうがい手洗いを徹底
     ・休校・休園や外出自粛中のお子さんの自宅での過ごし方について,工夫されていることがあれば教えてください。

    回答の例:
    生活リズムが崩れないように注意している
    平日は学校の時間割り通りに勉強し、休校前と同じ生活リズムを維持
    ゲームやテレビなど時間を決めてやる
    時間を決めて運動をするようにしています
    自由時間を作るようにしています
    普段は時間が無くできないことをこの機会に
    一緒に料理やお菓子作りをするようにしている
    家族でボードゲームをする時間をつくりました


    中間まとめ 
     新型コロナウィルスの影響は,医療や産業のみではなく,保育園,幼稚園,学校の休みにより,子どもたちの過ごし方にも大きな影響を及ぼしています。
     自宅で過ごす時間が増えたことによって,テレビやビデオ,インターネット,ゲームの時間が増えています。屋内での遊びに対して,外遊びや友達と会う機会も減少し,体力や健康の維持,精神衛生への影響も少なくないでしょう。その一方で,家族との会話は増えていて,各家庭で様々な工夫が行われていることをうかがわせます。
     多くの保護者は,子供にとって外遊びを必要なものと認識し,近所の公園や散歩,自宅の庭などへの外出や遊びを,戸惑いながら行っています。外出する際の留意事項,近所で安心して遊べる公園はどこにあるかなど,市区町村や公園管理者から保護者への適切な情報提供が求められています。規則正しい生活,適度な運動や外出,外出後の手洗いなど,各家庭での取り組みや工夫は,今後も休園・休校,外出自粛が続く地域には有用でしょう。
     4月中旬まで調査は継続し,地域や休校・休園措置の違いなどにも着目して分析し,最終的な取りまとめを行う予定です。影響が継続する場合や,今後の同様の事例の発生時に有用な情報を提供できるようにまとめていきます。
     引き続き,回答の呼びかけなど,ご協力よろしくお願いします。

     最後になりますが,ご回答をいただいた保護者の皆様,広報にご協力いただいた皆様に感謝申し上げます。子どもたちが思いっきり,外で遊べる日が早く来ることを願っています。