2014年3月25日火曜日

林業経済研究2014年春季大会論文「国立公園の計画と管理の課題 ―大雪山国立公園を事例とした検証―」

3月30日の林業経済学会のシンポジウムで,私が報告する内容が論文として林業経済研究に掲載されました。まだネット上では公開されておりませんが,抄録のみ,御覧ください。

愛甲哲也 (2014) 国立公園の計画と管理の課題 ―大雪山国立公園を事例とした検証―, 林業経済研究 60(1), 14-21

抄録

わが国の国立公園は,生物多様性の保全や過剰利用対策,協働型運営体制への取り組みなど大きな転換点を迎えている。大雪山国立公園の山岳地における登山道や他の施設の管理を事例に,国立公園の計画と管理における課題を検証した。その結果,大雪山の登山道管理水準の認知度は低く,社会科学的データは不足し,施設の整備水準やリスク管理への対応が不足し,管理運営の人材とコスト,利用者による費用負担の検討が不十分なことが明らかとなった。公園計画の策定プロセスがこれらの課題に対応できるようになっておらず,利用の面からのゾーニングや収容力の概念を取り入れた改定が必要だと考えられた。さらに,公園計画における地種区分は土地所有者の意向を強く反映してきたため,生物多様性の保全や過剰利用への対応が難しく,最新のデータに基づく見直しが急務であり,社会科学に根ざしたモニタリングや人材育成が求められることを指摘した。

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